版画ヲ使ウ

銅版画を嗜んでいる頃に
思っていたことだが、
絵は壁に飾って楽しめるが、
日常的に使えるものではない。

刷った絵をノートの表紙にしたり、
ポストカードにしたりすることはできるが、
あまり気がのらない。

布に刷ってみたり、
樹脂粘土に刷ってみたり(これは大失敗)、
色々やってみたが、
なかなか形にならなかった。

銅版画をやる人にとって、
原版は大切なもの、
当時は手放すなんて考えてもみなかった。


ある時、発想を変えて、
いざ、原版を装身具に加工しようとしても、
描き方はもとより、
腐蝕の仕方も変えないと、
全くうまくいかず···

3年ほどかけて腐蝕の質を安定させ、
漸く原版と版画いずれも、
作品として成立するようになった。
(と、自分では思っている)

腐蝕は、
塩化第二鉄を最適な状態にしてから、
コーティングを養生しながら
三段階の工程を踏み、
10時間以上かけて行う。

気の長い作業だが、
時間をかけて丁寧に仕事をすると、
金属もそれに応えてくれる気がする。



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水銀ノ猫 岩田圭音

版画ノヨウナ装身具