ニードル Ⅱ

作品を展示していて、
よく言われるのが
「これ、転写でしょう?」。

いえいえ、転写ではなく、
全てニードルで描いています。
ひとつひとつ手描きです。

細い針で、チクチクと、
何時間もかけて描いていきます。

同じ鳥でも、
ひとつひとつ描いていきます。

ひとつひとつに入魂してこそ、
魅力的な作品ができると思っています。

同じものも同時に並べて作らず、
ひとつひとつ。
例えばライン作業のように、
たくさん同じ作品を並べて、
ひとつ目を入れたら、
隣にうつって目を入れる···
という作業をした方が効率はよいでしょう。

しかし私の性格の問題なのか、
集中力の問題なのか、
とにかく出来上がるまで、
ひとつの画面に集中します。
そうやって描いた作品と、
横並びにして描いた作品とでは、
緊張感が違います。
不思議なものです。
(もしかしたら、他人が見たらわからないかもしれませんが···)

たまに
「転写にしたら?」
と言われたりもしますが、
残念ながら、転写の仕方がわかりません。

しかし、もともと銅版画が好きなくらいですから、
チクチクとひたすら描くこと、
その行為自体が自分の楽しみでもあります。
転写にしたら、
恐らく作品は作らなくなると思います。
 


ひとつひとつ手描きしていくと、
時間がかかるため、寡作です。
が、それは仕方のないこと。
 


細かい描画こそ自分の取り柄と、
この年になって
ようやく思えるようになったので、
それを大切にしていこうと思います。

0コメント

  • 1000 / 1000

水銀ノ猫 岩田圭音

版画ノヨウナ装身具